庄院長が『NEWSポストセブン』から取材を受け、記事が掲載されました

『NEWSポストセブンから取材を受け、記事が掲載されました』

NEWポストセブン (2021年8月4日掲載)

「男性の不妊治療」、専門医が語る現実 原因の半分は男性にある|NEWSポストセブン (news-postseven.com)

不妊の原因の半分は「男性」にある──。これは2017年にWHO(世界保健機関)の調査によって明らかになったデータである。同調査によると、不妊の原因は、24%が「男性のみ」、24%が「男女とも」にあるとされる。一般的に「不妊治療」とは「女性が行うもの」というイメージを持つ男性が多いと言われている。しかし不妊の原因の半数近くを占めるのが「男性」であるなら、その認識は現実とズレていると言える。

不妊治療の保険適用をめぐっては、政府が具体的な検討を開始し、体外受精に加え人工授精について保険適用とする方向で議論されていることが報じられた。制度面では少しずつ改善の方向へ向かっているが、まだまだ多くの人の間では「不妊治療は女性が行うもの」というイメージが強いのはなぜなのか。

「これは私の個人的な経験や考え方も含まれますが、やはり不妊治療は“女性”を中心に行われている現状があるからだと思います。例えば男性側に不妊の原因があり、不妊治療を受ければ自然妊娠する可能性があっても、男性は治療を受けずに、女性の身体に負担がかかる顕微受精に進まれる夫婦がいらっしゃるのです」

そう語るのは、日本ではまだ数が少ない“男性不妊”専門クリニックである「MRしょうクリニック」を福岡市で営む医師の庄武彦氏だ。

「男性の中には自身の妊孕性(女性を妊娠させる力)について触れられたくないと感じる方が、少なからずいらっしゃいます。不妊治療に消極的な方の割合は、もしかすると女性より男性の方が多いかもしれません」

ではそもそも、男性不妊治療を専門とする病院が少ない理由は何だろうか。

「やはり世の中において“男性不妊”の診断及び治療が積極的に求められておらず、放置されていたということがあると思います。最近になって不妊の原因は男性側にもあるという厳然たる事実が認識されるようになり、男性不妊を専門とする施設は増加傾向にあります」(庄医師)

「男性不妊症」として最も多いのが造精機能障害、いわゆる精巣内で精子を造る機能に障害がある状態で、原因の約8割を占めているという。その代表的な治療法の一つとして精巣内精子採取術(TESE)という手術方法がある。これは射精した精液内に精子を認めない無精子症の場合に、精巣の組織から直接、精子を採取する方法で、局所麻酔下に日帰りでもできる手術だ。しかし世の中の男性で、この治療法を把握している人は恐らくかなり少ないだろう。庄医師はこう分析する。

「男性側に不妊の原因がある場合には、まず男性側の治療をすることで女性側の心理的な負担・身体的な負担を減らすことができ、さらに治療にかかる費用の負担も減る可能性が高いと言えます。こういった認識がもっと世の中に広まることで、不妊への考え方や、他者への理解度が変わっていくのではないかと思います」

そんな男性不妊をテーマに描いた漫画がある。『不妊男子』という作品(ビッグコミックスペリオール・ダルパナ連載中)だ。主人公は仕事も私生活も順風満帆な30代前半のサラリーマン男子。しかしある日、妻が抱える妊娠に対する切実な悩みを知ることから、思わぬ展開へ……というストーリーだ。ではなぜ今、このテーマを漫画で描こうと思ったのか。著者である玄黄武(げんこうぶ)氏が語る。

「“男性不妊”をテーマに選んだのは、今日、妊娠・出産における“男性の本音”が、漫画を始めとする創作物において圧倒的に描かれていないと感じたからです。『不妊男子』という連載を通じて〈人はなぜ子供を作るのか?〉という答えに辿り着きたいと考えています」

漫画連載を始めるにあたり様々な取材を行なった玄黄武氏だが、その中でも特に印象的だった体験談がある。

「女性のクリニックで、内診台(産婦人科検診台)に座らせて頂いたことです。座って股をクイっと開かれた時は、これまで経験したことのない羞恥心を感じました。実際、女性がこの内診台に上がり検査を受ける気持ちは、男性がまったく及ばないところでした。また、男性のクリニックでは実際に精液検査を受けました。乱暴に言えば“男は精子を出すだけ”ですが、採精室といういつもと違う環境で自分はナーバスな状態になり、驚くほど苦労することに。本来“それ”には女性と同様に、とても繊細な心の動きがあるのだと改めて分かりました。

不妊治療というのは特別なことでなく、周囲を見れば、友人・同僚・家族の話だったりします。もはや、誰もが無関係ではいられない時代です。

“不妊”という言葉が纏うどこかタブーな空気を、『不妊男子』を通じて少しでも和らげることができたらと思います」

政府が一部の不妊治療について保険適用の方向で議論を始めていることについて、前出の庄医師はこう期待する。

「制度の充実により不妊治療の治療成績を向上させ、男性不妊治療の重要性を広く世間に周知させる良い機会になると考えております。当院では過去1年間、男性患者さんのおおよそ6組に1組ぐらいが夫婦で来院されており、夫婦で来院される方は以前よりも増えてきていると感じています。不妊検査の受診は男性にとって恥ずかしいものだと思いますが、それを夫婦で来院されるということは、不妊治療に夫婦で真剣に取り組もうとする姿勢の現れでもあると感じています」

制度の充実だけではない、「男性不妊」への意識の変化が今、求められているのではないだろうか。

 

【プロフィール】庄武彦(しょう・たけひこ)/2003年 産業医科大学医学部卒業。九州がんセンター、産業医科大学病院などを経て、2016年から全国に先駆けた男性不妊専門クリニックとして知られていた『天神つじクリニック』副院長を務める。そして2020年に、同院を引き継ぐかたちで『MRしょうクリニック』を開業する。

 

 

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