ホーム » LOH症候群・男性更年期障害について
これらの症状がある場合、男性ホルモン(テストステロンなどのアンドロゲン)の低下によるものかもしれません。 このような『加齢に伴い男性ホルモン(アンドロゲン)が低下することによる症候』を『LOH症候群(late onset hypogonadism)』、『加齢性腺機能低下症』などと呼びます。
一般的には『男性更年期障害』という言葉がよく使われていますが、男性更年期障害は必ずしもテストステロンの低下のみにて生じるわけではなく、うつ病とも関連していることから、正確には『LOH症候群』と同義語(同一疾患)ではありません。よって、男性更年期障害においては男性ホルモンの低下が主な原因となっていることには間違いはないものの、精神科領域(うつ病など)との鑑別も重要となります。
主な男性ホルモン(アンドロゲン)は精巣において産生されるテストステロンです。当院を始めとする泌尿器科での泌尿器科系臨床検査は、一般臨床検査とともに基礎疾患のスクリーニングと治療適応を判断するのに有用とされており、質問票を組み合わせることによりLOH症候群の診断をより正確に行うことができます。安易に男性ホルモンの補充を行った後に当院を受診される方もいらっしゃいますが、男性ホルモンの補充を行うと精子を作る機能が落ちてしまうため、お子さんをご希望の方にはテストステロンの補充を漫然と行うべきではありません。また、前立腺がん、乳がんなどは男性ホルモンの補充でがんを悪化させてしまうため、テストステロン補充は前立腺がん、乳がんのある方には行ってはいけません。以上のことなどを踏まえ、しっかり診断をつけた上で治療の要否、治療方法を判断する必要があります。
LOH症候群(加齢性性腺機能低下症)の症状をわかりやすく説明すると、性機能に関連した症状以外は女性の更年期障害(Menopause)と似た症状が出ます。女性と異なる点は、女性の場合は閉経前後の急激なホルモン変化(女性ホルモンであるエストロゲンの低下)が起こる更年期(女性の閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間をいいます)に起こることが多いため年齢が目安となる一方で、男性ではホルモンの急激な変化のタイミングがないため、症状が出る年齢には個人差があります。つまり女性では、日本人女性の平均閉経年齢は約50歳ですのでその前後の年齢で注意が必要ですが、男性の場合は年齢がまだまだ若いからと言っても可能性がないわけではありません。 症状としては、下記に示すような精神症状、身体症状、性機能に分けて考えると、理解しやすいです。テストステロンが減少する初期の症状としてわかりやすいものには性欲と勃起(特に夜間睡眠時、いわゆる朝立ち)が悪くなるといったものがあります。 1.精神症状 ・疲労感がある ・集中力、記憶力の低下 ・抑うつ ・怒りっぽくなる、など 2.身体症状 ・眠れない ・筋力が落ちた ・脂肪(内臓脂肪)が増えた ・体毛(頭の毛ではなく、髭や脛毛)が薄くなる ・骨が折れやすくなった(骨粗鬆症)、など 3.性機能 ・性欲と勃起(特に夜間睡眠時、いわゆる朝立ち)が悪くなる ・射精感が弱くなった、など
LOH症候群の診断には、血液検査で行う遊離型テストステロン値を診断として用いることが推奨されていますが、泌尿器科系の臨床検査なども大切です。 ・ホルモン検査(男性ホルモン、下垂体系ホルモンなど) ・泌尿器科系の臨床検査 精巣、前立腺の評価(精巣の大きさや前立腺がんなどの前立腺疾患の鑑別) ・体毛(髭、陰毛)の変化の観察 ・勃起の評価(質問票により評価します) ・精神・心理症状、身体症状、精機能関連症状の評価(質問票による評価が参考になります)
当院で治療可能です。治療は、男性ホルモンの補充が中心となりますが、男性ホルモンの補充は、精子を作る機能を落とす可能性があるため、お子さんをご希望されているのかどうかによって他の治療方針も検討する必要があります。また前立腺がんなどがある場合には、男性ホルモン補充でがんを悪化させてしまうため、前立腺がんがないかを評価した上で、最終的に治療方針を決める必要があります。 治療方針には下記に示すものがあります。
・男性ホルモン補充療法などの内分泌療法 日本では男性ホルモンの補充に1) 注射薬,2) 軟膏 が使用でき、当院でもこの2種類を実施しております。 1) 注射薬(2-3週間に1回の注射を行います。血中濃度の上昇より効果が実感しやすいです) 2) 軟膏(注射が苦手な方、通院が難しい方で行います。効果はマイルドですが、血中濃度が比較的安定します) ・漢方薬 ・勃起障害治療薬(バイアグラ、シアリスなど。当院ではお子さんをご希望中の方であれば保険診療での処方が可能です) ・対症療法(睡眠導入剤、解熱鎮痛剤など) ・心理カウンセリング ・プラセンタ治療 など
長生きできる社会を世界中の国が医療の発展とともに目指してきて、日本はそれをトップレベルで実現してきました。今後は健康で元気に生きていくためにLOH症候群をはじめとする男性更年期障害に対する治療も求められてくると思いますし、決してその治療を恥ずかしがる必要はないと思います。
一方で男性ホルモン補充には注意をしないといけない点もあります。男性ホルモンの補充が長期に及ぶと、無精子症になる方もいらっしゃいます。男性ホルモンの補充を中止することで造精機能が回復する可能性もありますが、簡単には回復しない方もいらっしゃいます。そのため、お子さんをご希望の方には安易に男性ホルモンの補充は行うべきではないと考えます。また繰り返しになりますが、前立腺がんなどの男性ホルモンの補充で悪化するがんもありますので、治療を始める前には正確な評価がまず始めに大切になります。当院では男性ホルモン補充以外の治療方針も、ご希望に合わせて提案しております。抑うつに対して精神科専門医による精査・治療が必要と判断された場合には、当院より心療内科・精神科へのご紹介も提案し、連携して治療にあたります。
治療をご希望の方、評価をご希望の方は当院へお気軽にご受診ください。 勃起障害治療については、お子さんをご希望でパートナーがいらっしゃる方であれば、当院(一般不妊治療認定施設)では保険診療で勃起障害治療薬(バイアグラ、シアリスなど)の処方が可能です。
下記質問票では、LOH症候群かどうかをご自身で簡易的にチェックいただけます。 当院受診の参考にされてください。
訴えの程度(合計点) 17~26点:なし, 27~36点:軽度, 37~49点:中等度, 50点以上:重度
【引用文献】 加齢男性性腺機能低下症候群(LOH 症候群)診療の手引きより引用
診療日/第1,3,4火曜・水曜・木曜・金曜・土曜・第3日曜日
診療時間/10:00~18:00(第3日曜日 9:00~17:00)
(昼休み 14:00~15:00)
休診/月曜日・祝日・第2火曜日・第1,2,4日曜日
お電話・メールでの来院予約・お問い合わせ
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LOH症候群・男性更年期障害について
LOH症候群の治療にはまずは正確な診断を!
そして…その治療を恥ずかしがる必要はありません!!
●やる気が出ない、性欲もない、疲労がとれない、眠れない
これらの症状がある場合、男性ホルモン(テストステロンなどのアンドロゲン)の低下によるものかもしれません。
このような『加齢に伴い男性ホルモン(アンドロゲン)が低下することによる症候』を『LOH症候群(late onset hypogonadism)』、『加齢性腺機能低下症』などと呼びます。
一般的には『男性更年期障害』という言葉がよく使われていますが、男性更年期障害は必ずしもテストステロンの低下のみにて生じるわけではなく、うつ病とも関連していることから、正確には『LOH症候群』と同義語(同一疾患)ではありません。よって、男性更年期障害においては男性ホルモンの低下が主な原因となっていることには間違いはないものの、精神科領域(うつ病など)との鑑別も重要となります。
主な男性ホルモン(アンドロゲン)は精巣において産生されるテストステロンです。当院を始めとする泌尿器科での泌尿器科系臨床検査は、一般臨床検査とともに基礎疾患のスクリーニングと治療適応を判断するのに有用とされており、質問票を組み合わせることによりLOH症候群の診断をより正確に行うことができます。安易に男性ホルモンの補充を行った後に当院を受診される方もいらっしゃいますが、男性ホルモンの補充を行うと精子を作る機能が落ちてしまうため、お子さんをご希望の方にはテストステロンの補充を漫然と行うべきではありません。また、前立腺がん、乳がんなどは男性ホルモンの補充でがんを悪化させてしまうため、テストステロン補充は前立腺がん、乳がんのある方には行ってはいけません。以上のことなどを踏まえ、しっかり診断をつけた上で治療の要否、治療方法を判断する必要があります。
●LOH症候群の症状
LOH症候群(加齢性性腺機能低下症)の症状をわかりやすく説明すると、性機能に関連した症状以外は女性の更年期障害(Menopause)と似た症状が出ます。女性と異なる点は、女性の場合は閉経前後の急激なホルモン変化(女性ホルモンであるエストロゲンの低下)が起こる更年期(女性の閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間をいいます)に起こることが多いため年齢が目安となる一方で、男性ではホルモンの急激な変化のタイミングがないため、症状が出る年齢には個人差があります。つまり女性では、日本人女性の平均閉経年齢は約50歳ですのでその前後の年齢で注意が必要ですが、男性の場合は年齢がまだまだ若いからと言っても可能性がないわけではありません。
症状としては、下記に示すような精神症状、身体症状、性機能に分けて考えると、理解しやすいです。テストステロンが減少する初期の症状としてわかりやすいものには性欲と勃起(特に夜間睡眠時、いわゆる朝立ち)が悪くなるといったものがあります。
1.精神症状
・疲労感がある
・集中力、記憶力の低下
・抑うつ
・怒りっぽくなる、など
2.身体症状
・眠れない
・筋力が落ちた
・脂肪(内臓脂肪)が増えた
・体毛(頭の毛ではなく、髭や脛毛)が薄くなる
・骨が折れやすくなった(骨粗鬆症)、など
3.性機能
・性欲と勃起(特に夜間睡眠時、いわゆる朝立ち)が悪くなる
・射精感が弱くなった、など
●LOH症候群の診断
LOH症候群の診断には、血液検査で行う遊離型テストステロン値を診断として用いることが推奨されていますが、泌尿器科系の臨床検査なども大切です。
・ホルモン検査(男性ホルモン、下垂体系ホルモンなど)
・泌尿器科系の臨床検査
精巣、前立腺の評価(精巣の大きさや前立腺がんなどの前立腺疾患の鑑別)
・体毛(髭、陰毛)の変化の観察
・勃起の評価(質問票により評価します)
・精神・心理症状、身体症状、精機能関連症状の評価(質問票による評価が参考になります)
●LOH症候群の治療
当院で治療可能です。治療は、男性ホルモンの補充が中心となりますが、男性ホルモンの補充は、精子を作る機能を落とす可能性があるため、お子さんをご希望されているのかどうかによって他の治療方針も検討する必要があります。また前立腺がんなどがある場合には、男性ホルモン補充でがんを悪化させてしまうため、前立腺がんがないかを評価した上で、最終的に治療方針を決める必要があります。
治療方針には下記に示すものがあります。
・男性ホルモン補充療法などの内分泌療法
日本では男性ホルモンの補充に1) 注射薬,2) 軟膏 が使用でき、当院でもこの2種類を実施しております。
1) 注射薬(2-3週間に1回の注射を行います。血中濃度の上昇より効果が実感しやすいです)
2) 軟膏(注射が苦手な方、通院が難しい方で行います。効果はマイルドですが、血中濃度が比較的安定します)
・漢方薬
・勃起障害治療薬(バイアグラ、シアリスなど。当院ではお子さんをご希望中の方であれば保険診療での処方が可能です)
・対症療法(睡眠導入剤、解熱鎮痛剤など)
・心理カウンセリング
・プラセンタ治療 など
●当院(泌尿器科専門医・生殖医療専門医が在籍しております)からみなさんに伝えたいこと
長生きできる社会を世界中の国が医療の発展とともに目指してきて、日本はそれをトップレベルで実現してきました。今後は健康で元気に生きていくためにLOH症候群をはじめとする男性更年期障害に対する治療も求められてくると思いますし、決してその治療を恥ずかしがる必要はないと思います。
一方で男性ホルモン補充には注意をしないといけない点もあります。男性ホルモンの補充が長期に及ぶと、無精子症になる方もいらっしゃいます。男性ホルモンの補充を中止することで造精機能が回復する可能性もありますが、簡単には回復しない方もいらっしゃいます。そのため、お子さんをご希望の方には安易に男性ホルモンの補充は行うべきではないと考えます。また繰り返しになりますが、前立腺がんなどの男性ホルモンの補充で悪化するがんもありますので、治療を始める前には正確な評価がまず始めに大切になります。当院では男性ホルモン補充以外の治療方針も、ご希望に合わせて提案しております。抑うつに対して精神科専門医による精査・治療が必要と判断された場合には、当院より心療内科・精神科へのご紹介も提案し、連携して治療にあたります。
治療をご希望の方、評価をご希望の方は当院へお気軽にご受診ください。
勃起障害治療については、お子さんをご希望でパートナーがいらっしゃる方であれば、当院(一般不妊治療認定施設)では保険診療で勃起障害治療薬(バイアグラ、シアリスなど)の処方が可能です。
●最後に、セルフチェックをしてみましょう!
下記質問票では、LOH症候群かどうかをご自身で簡易的にチェックいただけます。
当院受診の参考にされてください。
訴えの程度(合計点) 17~26点:なし, 27~36点:軽度, 37~49点:中等度, 50点以上:重度
【引用文献】
加齢男性性腺機能低下症候群(LOH 症候群)診療の手引きより引用
診療日/第1,3,4火曜・水曜・木曜・金曜・土曜・第3日曜日
診療時間/10:00~18:00(第3日曜日 9:00~17:00)
(昼休み 14:00~15:00)
休診/月曜日・祝日・第2火曜日・第1,2,4日曜日
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